研究分野

  半導体を利用した電子デバイスは今日の生活に欠かせないものです。本研究室では機器の効率を格段に高めるワイドバンドギャップ半導体デバイスに関する研究を行っています。

研究テーマ

 本研究室では主に次のテーマについて研究をしています。なお、テーマの一部は嘉数研究室と協力し、進めています。

1.ワイドバンドギャップ半導体を用いた電子デバイス

(1) 窒化ガリウム (GaN)

 高周波アナログ信号の高出力増幅器やパワースイッチングデバイスに応用されます。最大の課題は半導体中や表面に存在するトラップで、電気的特性を劣化させます。 トラップは直流特性には現れず、高周波動作時に観察されるため、その性質の解析を難しくしています。 本研究室では、時間応答、周波数応答、シミュレーションなどの測定を総合的に行い、トラップの場所とその性質を明らかにします。

(2) 酸化ガリウム (Ga2O3)

 酸化ガリウムは高耐圧動作に適したデバイスで、ショットキーバリアダイオードやトランジスタへの適用が期待されています。 しかし、その研究は始まったばかりで主に結晶から見た基礎的な検討です。 本研究室ではデバイス動作の解明を進めるとともに機器からの要求に答えるために必要なデバイスの特性を研究していきます。

(3) ダイヤモンド (Diamond)

 ダイヤモンドは周期律表で14族の第1周期に位置し、他の半導体を凌ぐ物性値を備えています。 しかし、結晶成長が難しく、デバイスとして実用化するためには基板の大口径化など多くの課題が存在します。 本研究室ではデバイス評価を通して、課題解決に関する検討を行います。

(4) レクテナ (Rectenna)

 レクテナは高周波信号を直流に変換するデバイスで、電力を無線で送信する機器に使用します。 ワイドバンドギャップ半導体は高電圧動作が得意ですが、電圧が高くなくても高電圧で使っていたメリットを効率に振替えることができます。 本研究室ではレクテナデバイスの高周波動作を解析することで、効率を最大にするための構造を検討していきます。


2.デバイスモデリング技術

 従来、デバイス開発は直流や小信号特性を見ながら開発し、最後に機器で動作(大信号特性)の検証を行っています。 しかし、最初から機器での動作を想定したデバイス構造を開発できれば開発期間が短縮できます。 本研究室では高周波高出力増幅やパワースイッチング動作をデバイス構造レベルから考えるデバイスモデリング技術を研究します。 これによりデバイスと機器での動作(回路への組込み)を直接結び付る取り組みを行っていきます。