佐賀大学 理工学部電気エネルギー工学コース、電子デバイス工学コース パワー半導体研究室(嘉数研究室)

研究内容

ダイヤモンド半導体デバイス

ダイヤモンドは、シリコンの5倍のバンドギャップを持ち、パワーや高周波性能に優れた究極の半導体です。大口径ウエファ―を目指した結晶成長技術とその結晶成長の機構を解明を行います。また本研究室では、ダイヤモンド半導体デバイスを作製する設備と技術があり、実際に半導体デバイスを作製し、電力特性、高周波特性を測定します。

① ダイヤモンド・パワー半導体デバイスの作製

ダイヤモンドは、シリコンの5倍のバンドギャップを持ち、パワーや高周波性能に優れた究極の半導体です。ダイヤモンドのパワー半導体デバイスが実用化されれば、現在の電力巣ステムの消費電力を10,000倍まで高効率化することができることがわかっています。
本研究室は、ダイヤモンド半導体デバイスでは世界の最先端にあり、実用レベルで動作するデバイスを実際に作っています。研究では、実際に半導体デバイスを作製し、DC特性、電力特性、高周波特性を測定し、ダイヤモンド半導体デバイスの実用化に向けた基盤技術を開発すると共に、半導体としても新しいダイヤモンドの電子物性を明らかにする研究も行っています。

② パワー半導体を目指したダイヤモンド・ヘテロエピタキシャル結晶成長の機構の解明

ダイヤモンドは、シリコンの5倍のバンドギャップを持ち、パワーや高周波性能に優れた究極の半導体です。物性としては優れているダイヤモンドですが、シリコンのような大口径ウエファ―がまだありません。しかし最近、サファイア基板の上に大面積のダイヤモンド結晶ができる技術が開発され、その結晶成長技術の向上とその結晶成長の機構の解明を行います。また本研究室では、最新の原子間力顕微鏡(AFM)やX線回折装置があり、ダイヤモンドの結晶ができていく様子を原子レベルで調べます。

酸化ガリウム半導体デバイス

酸化ガリウムは、ダイヤモンドと同様、シリコンの5倍のバンドギャップを持ち、近年、急速に進展している半導体です。EFG法やVB法でできたバルク結晶、HVPE法でエピタキシャル成長した結晶を、佐賀県鳥栖市のシンクロトロン光施設でX線トポグラフィー法やエッチピット法で欠陥を調べたり、企業が試作中のアンペア級のデバイスを測定し、結晶欠陥がデバイスに与える影響を調べます。

③ 酸化ガリウム・パワー半導体デバイスの特性に結晶欠陥が与える影響の解明

酸化ガリウムは、ダイヤモンドと同様、シリコンの5倍のバンドギャップを持ち、近年、急速に進展している半導体です。企業がアンペア級のデバイスを試作中ですがデバイス特性にはばらつきがあり、結晶欠陥がデバイス特性に影響を与えていると思われます。
本研究テーマでは、企業が試作中のウエファー上のアンペア級のデバイスを測定し、同じウエファーで、結晶欠陥の分布を調べることで、デバイス特性に影響を与えている結晶欠陥(キラー欠陥という)を見つけます。

太陽光発電所システム

佐賀県内にある吉野ケ里メガソーラー(太陽光発電所)事業に複数企業と共に参加しています。実用として稼働中の発電システムの発電量が気象によって変動するメカニズムや、太陽光発電モジュールで突然起こる故障原因の解明、地面から生えて太陽光の影になる雑草が発電量に与える影響やメカニズムの解明を行います。

④ 太陽光発電モジュールの故障、劣化原因の解明と特性への影響

佐賀県内にある吉野ケ里メガソーラー(太陽光発電所)事業に複数企業と共に参加しています。15年間は稼働しつづける太陽光発電所ですが、その間、安定して発電し続ける保証はありません。
研究では、佐賀大が測定している、稼働中の発電システムの発電量が、気象によって変動するメカニズムを明らかにしていきます。また、突然起こる太陽光発電モジュールの故障原因を分解したり、電流電圧特性を測定することにより解明していきます。