無線通信における各アプリケーションの動作周波数と出力電力、および各半導体パワーデバイスの動作領域を右図に示します。
近年、シリコンカーバイド(SiC)電力デバイスやGaN高周波電力デバイスの研究が盛んに行われていますが、ダイヤモンドは、半導体中で最も高い絶縁破壊電界強度と熱伝導率を持ち、移動度やキャリア速度も高く、そのデバイスはSiCやGaNを越える高効率・高周波電力性能を示すことが理論的に導かれます。
現在でも放送地上局、衛星通信、レーダーでは、必要な性能が半導体の能力を越えているため進行波管が用いられていますが、ダイヤモンド・パワーデバイスが可能になれば、放送地上局、通信衛星等を半導体化でき、飛躍的に高信頼化、高出力化することができます。
近年では、ダイヤモンドCVD技術は急速に発展し、工業用の人工単結晶の値段は下がりつつあり、将来は実用レベルになると思われます。
ダイヤモンド半導体のデバイス化への課題は、電気伝導性(p型およびn型)制御にありますが、私はp型伝導を示す水素終端ダイヤモンドの機構を解明し
(APL2010)、半導体で最高濃度の二次元正孔が得られました(APEX2009)。
これらの成果を元にFETを作製し、世界最高の電力利得の遮断周波数(IEEE EDL2006)や準マイクロ波帯での高周波出力電力を達成し(IEE
EL2005)、ダイヤモンドのミリ波帯電力増幅の可能性を実証しました(Diamond2006国際会議 基調講演等、招待講演)。
〒840-8502
佐賀市本庄町1番地
TEL 0952-28-8648
FAX 0952-28-8648
E-mail kasu(at)cc.saga-u.ac.jp